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池田 修悟; 酒井 宏典; 青木 大*; 本間 佳哉*; 山本 悦嗣; 中村 彰夫; 塩川 佳伸; 芳賀 芳範; 大貫 惇睦
Journal of the Physical Society of Japan, 75(Suppl.), p.116 - 118, 2006/08
UTeは、空間群がImmmの斜方晶の結晶構造を持つ。ウラン原子は、a軸方向に一列に並んでおり、この結晶構造上の特徴のため、磁気異方性が大きいことが期待される。しかしながら、現在まで、UTeの磁気異方性について研究した報告例はない。われわれは、この点を研究するため、まずヨウ素による化学輸送法を用いて、UTeの単結晶を育成した。この単結晶を用いて、磁化率の温度依存性を測定したところ、やはりa軸と他の軸では、低温に行くに従い大きな異方性があることがわかった。また150K以上の温度領域では、磁化率の温度依存性が、キュリー・ワイス則に従っていた。ここから見積もられる有効磁気モーメントは、どの軸でも3.2-3.6であり、局在5f(5f)電子状態から期待される値とほぼ同じであることもわかった。
上野 文義; 永江 勇二*; 根本 義之; 三輪 幸夫; 高屋 茂*; 星屋 泰二*; 塚田 隆; 青砥 紀身*; 石井 敏満; 近江 正男; et al.
JAERI-Research 2005-023, 132 Pages, 2005/09
原研とサイクル機構は、平成15年度から研究開発の効率的推進と研究の相乗的発展を目指す「融合研究」を開始した。本研究は、「融合研究」の一つとして、高速炉や軽水炉環境などの照射環境において生じる構造材料の照射劣化現象を対象に、劣化機構の解明,早期検出及び評価方法の開発を目的とした。平成1617年度は、本研究に用いる照射材対応の遠隔操作型の微少腐食量計測装置,腐食試験装置及び漏えい磁束密度測定装置を整備し、SUS304の照射後及び非照射クリープ試験片や照射後高純度モデル材を共通試料とし、両手法を用いた劣化検出を試みるとともに、比較のための非照射劣化模擬試料を用い、基礎的なデータを取得した。これらの結果に基づき、本研究において提案した劣化評価法の適用性を検討した。
Carty, G. J.*; 町田 昌彦; Hampshire, D. P.*
Physical Review B, 71(14), p.144507_1 - 144507_9, 2005/04
被引用回数:13 パーセンタイル:49.98(Materials Science, Multidisciplinary)超伝導体にコーティングする金属の特性とともに超伝導体の磁化過程がどのように変化するかという問題は、超伝導体の磁場中での性質を制御するうえで極めて重要な問題であり、系統的な大規模数値シミュレーションにより初めて理解可能である。本研究では、この問題意識に答えるべく、超伝導体の超伝導電子密度の時空間発展を現象論的レベル(巨視的レベル)で記述する時間依存のギンツブルクランダウ方程式を数値的に解き、任意の電気抵抗を持つ金属をコーティングした超伝導体の磁気特性(磁化過程)を調べた。その結果、量子化磁束の侵入が金属の臨界温度や電気抵抗に強く依存することを初めて直接示すことに成功したほか、コーティングの膜厚依存性についても、定性的理解を得ることができた。
星屋 泰二*; 上野 文義; 高屋 茂*; 永江 勇二*; 根本 義之; 三輪 幸夫; 青砥 紀身*; 塚田 隆; 阿部 康弘*; 中村 保雄*; et al.
JAERI-Research 2004-016, 53 Pages, 2004/10
日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構は、平成15年度から、両機関の統合に向けた先行的取り組みとして、研究開発の効率的推進と相乗的発展を目指す「融合研究」を開始した。本研究は、原子炉構造材料分野における「融合研究」として、高速炉や軽水炉の照射環境における構造材料について、照射劣化機構の解明,劣化の早期検出及び評価方法の開発を目的とする。平成15年度は、本研究に用いる遠隔操作型磁化測定装置及び微少腐食量計測装置の設計及び開発を行った。耐放射線及び遠隔操作を考慮したこれらの装置により、照射後試料の劣化現象を高感度に検出することが可能となった。今後、両装置を用いて照射材を用いた材料劣化の研究を実施する。
池田 修悟; 大久保 智幸*; 稲田 佳彦*; 常盤 欣文; 金子 耕士; 松田 達磨; 山本 悦嗣; 芳賀 芳範; 大貫 惇睦
Journal of Physics; Condensed Matter, 15(28), p.S2015 - S2018, 2003/07
被引用回数:6 パーセンタイル:35.62(Physics, Condensed Matter)CeTIn(T: Co, Rh, Ir)は、Ceをベースとした重い電子系超伝導物質として、現在盛んに研究されている化合物である。しかしCeをUに置換したUTGaにおいては、URuGaのみ化合物が発見、研究されており、まだまだ未知の化合物群である。われわれは、自己フラックス法により、遷移金属をRuからFeやRhに変えたUFeGaとURhGaの化合物を初めて発見し、その単結晶育成に成功した。これらの単結晶を用い、比熱,電気抵抗,磁化率測定を行ったところ、両者ともパウリ常磁性で、電子比熱係数が比較的大きい、重い電子系物質であることがわかった。
石田 武和*; 北村 健太郎*; 奥田 喜一*; 朝岡 秀人
Journal of the Physical Society of Japan, 70(7), p.2110 - 2113, 2001/07
被引用回数:3 パーセンタイル:27.5(Physics, Multidisciplinary)酸化物超伝導体における磁気相図の解明は、超伝導発現メカニズムを知るうえで重要な課題である。われわれは包晶反応を利用した高純度・高品質なYBaCuO結晶を育成し双晶境界を消去した単結晶を作製した。この結晶は異方特性が顕著な物質を理解するために不可欠な試料である。高感度な磁気トルク測定装置を用いた結晶のc軸に垂直方向に印加し、磁束格子融解下におけるイントリンシックピニングの特性を明らかにした。
Zhukov, A. A.*; Kokkaliaris, S.*; de Groot, P. A. J.*; Jansen, A. G. M.*; Mossang, E.*; 朝岡 秀人; Wolf, T.*; Gagnon, R.*; Taillefer, L.*
Physica C, 341-348(Part2), p.1027 - 1030, 2000/11
Wolfら(独国)の作製したas-grownの結晶と朝岡ら(原研)の作製した双晶を除却した単結晶を用いて、23Tの高磁場までの磁気特性を磁気トルク法により観測を行った。この結果、超伝導発現機構を知るうえで重要な詳細な磁気相図を得ることができた。高品質な単結晶を用いることにより各温度にわたり、これまでに報告のない新たなフィッシュテールを含むシャープなピークが観測されている。
荒 克之; 海老根 典也
日本応用磁気学会誌, 20(3), p.743 - 749, 1996/00
非破壊検査では磁気的手法が有力な手段の一つとして用いられている。次の技術として、傷が発生する前の材質劣化を非破壊検査することの重要性が認識され、磁気ヒステリシス法、バルクハウゼン雑音法、SQUIDの利用などが注目され研究が行われている。材質劣化の非破壊計測では、機械的性質の劣化を非破壊計測するのではなく、材質劣化に伴う物理的性質(磁性、電気伝導性、音弾性)の変化を計測する。したがって、機械的性質と物性(磁性)との相関関係が明確であることが重要となる。以上のことに関して、研究の動向、今後の研究課題を解説する。
荒 克之; 中島 伸也; 海老根 典也; 坂佐井 馨
Proceedings of 8th International Conference on Pressure Vessel Technology (ICPVT-8), 1, p.183 - 189, 1996/00
原子炉圧力容器の照射硬化を非破壊に計測する磁気問かけ法を提案する。本手法は圧力容器鋼材の照射硬化と保磁力変化との間に存在する良い相関関係を利用する。すなわち、圧力容器の検査部を磁気ヨークを用いて磁化し、そのときの圧力容器表面の磁界分布から圧力容器鋼内部の保磁力分布を推定し、この保磁力分布から照射硬化程度を評価するものである。熱処理によって機械的硬さを変えた圧力容器鋼材について、硬さと保磁力の関係を調べ、両者の間に比例関係があることを確認した。このデータは照射によって硬さを変えた鋼材についてのデータと傾向が良く一致した。また圧力容器鋼材について磁気特性を調べ、磁気問かけ法を実行する上での研究課題である圧力容器鋼材のヒステリシス磁化特性モデルとの開発、磁気ヨーク・磁界計測システムの開発等について検討した。
海老根 典也; 橘田 和泰*; 荒 克之; 中島 伸也; A.Gilanyi*; 上坂 充*; 宮 健三*
MAG-95-138, 0, p.61 - 68, 1995/11
原子炉圧力容器の非破壊劣化計測法に関して、著者らは、中性子照射による材料の機械的特性の変化を磁気特性の変化との関連から求める「磁気問いかけ法」の研究を進めている。本稿では、材料の機械的特性と磁気的特性の関連について材質の変化からみた根拠をのべるとともに、磁気特性を用いた鋼材の非破壊評価の可能性を調べるため、熱処理により機械的特性の異なる試料を材性し、機械的特性と磁気特性の関係を調べた。測定試料としては、原子炉圧力容器鋼A533B鋼およびSUS410鋼を用いた。測定の結果両鋼材とも硬度と磁気特性には非常によい相関があり、磁気特性を用いた非破壊的劣化評価の可能性があることがわかった。
坂佐井 馨; 荒 克之; 伊藤 博邦; 岸本 牧; 片桐 政樹
Review of Scientific Instruments, 65(5), p.1657 - 1662, 1994/05
被引用回数:2 パーセンタイル:36.93(Instruments & Instrumentation)低温におけるCo-Fe-Si-B系アモルファス線の電気磁気特性を調べた。その電気抵抗は約30Kで最小となるが、この値は常温のものとほとんど変化せず、約2.7%減少したにすぎない。また、磁気特性として保持力(Hc)、飽和磁束密度(Bs)及び最大透磁率(m)を調べたが、4.4Kでは常温の値と比べて、Hcは25%、Bs及びmは15%の増加を示した。これらの結果をふまえ、77K以下の低温で動作するマルチバイブレータ型磁界センサを試作した。試作した磁界センサは、常温で+1(Oe)から-1(Oe)の磁界測定範囲で1(mV/mG)という大きな感度を有し、6Kという極低温下でもその変化は約0.5%であった。
荒 克之; 山田 政治; 角田 恒巳; 山岸 秀志
JAERI-M 86-181, 89 Pages, 1986/12
炉内計測センサの開発に関して、マルテンサイト系ステンレス鋼SUS403,SUS410J1,TAF及びフェライト系ステンレス鋼SUS405の磁気特性を調べた。試料は焼入・焼戻し・低温焼なまし・完全焼なましの熱処理を施したものと、未処理(バ-ジン材)を用い、それぞれについて常温~800Cの範囲で各種の有用と思われる時期特性(磁化特性・透磁率・逆磁歪・キュ-リ点など)を調べた。マルテンサイト系の材料は磁気的に半硬質な性質を示し、フェライト系は比較的軟質である。常温での飽和磁束密度は約15000ガウス、キュ-リ点は材料によって幾分異なるが、720~750Cである。SUS403と405は逆磁歪も大きい。本報告書は、以上の結果をデ-タ集として纏めたもので、大型磁気装置の設計にも役立つと考える。
荒 克之
MAG-82-165, p.83 - 92, 1982/00
原子炉計測のうち、原子炉内の計測では耐環境性のあるセンサが必要とされる。磁気応用センサは耐環境性に優れ、出力レベルも大きいので、原子炉内の各種の計測に利用されている。原子炉内用磁気応用センサに使われている磁性材料に強磁性を示すステンレス鋼がある。この材料は本来構造材料として開発されたものが、その磁気特性は調べられていない。そのため、SUS403およびSUS405の磁気特性を調べた。これらの材料は、一般の反硬質磁性材料に比べて、いくぶん磁気的に軟かい特性を示す。実際の磁気応用センサとして、燃料伸び測定用差動変圧器、燃料ピン内圧測定のためのベローズ/差動変圧器式圧力センサ、フロート/リニアトランス式水位系を開発した。これらのセンサでは耐熱コイルの作成、ケーブル引出部のシール溶接などが重要な点で、工夫を必要とする。
若井 栄一; 能登 裕之*; 柴山 環樹*; 中川 祐貴*; 石田 卓*; 牧村 俊助*; 涌井 隆; 古谷 一幸*; 安堂 正己*
no journal, ,
エネルギー,原子力,高エネルギー加速器標的システム,核融合,生体等の分野では、放射線によって材料や機器に劣化が生じるため、高い耐久性や優れた機能を持つ新物質の創出が期待される。本研究では、低放射化性の元素(NiとCoを含まない)からなるFe系, Ti系, W系のハイエントロピー合金(HEA)に対し、Fe系は、高周波溶解法で、Ti系は、コールドクルーシブル浮揚溶解法で、W系は、金属粉末を用いたアーク溶解法で作製した。これらの材料については、X線回折法,組織観察,硬さ測定,磁気測定,電気抵抗測定,操作型透過形電子顕微鏡STEM(または、TEM, SEM)とエネルギー分散型X線分光法,超音波測定,熱間等方圧加圧(HIP)法の試験を実施した。これらのHEAは、通常の合金に比べて非常に硬く、また、Fe系HEAにおいては、磁気特性とそれに関する微細組織の解析では、微小な磁区構造等の興味深い特性を有すことが分かった。特に、鉄系とW系のHEAでは、HIP処理によって生じる結晶構造や方位及び内部組織の変化並びに付随する高温と圧力の効果によって磁気特性や材料強度特性に大きな影響を及ぼすことが分かってきた。